ニュースで「ハラスメント」という言葉をよく聞くようになりましたが、「パワハラ」と「モラハラ」って何が違うの?「マタハラ」と「パタハラ」は?と聞かれたら、すぐに答えられますか?似ているようで、実はそれぞれ定義がしっかり異なります。詳しく説明します。
「パワハラ」「モラハラ」「セクハラ」「マタハラ」「パタハラ」の違いを簡単にまとめると
まずは結論から!5つの違いをざっくり整理します。
・ 「パワハラ」は立場・権力を使った嫌がらせ、上下関係が前提、業務上の言動が対象
・ 「モラハラ」は言葉・態度による精神的な嫌がらせ、権力差は関係なし、人格否定が中心
・ 「セクハラ」は性的な言動による嫌がらせ、身体的・言語的どちらも含む、性別問わず被害あり
・ 「マタハラ」は妊娠・出産・育休にまつわる嫌がらせ、女性が対象になることが多い、職場での不利益扱い
・ 「パタハラ」は男性が育休を取ろうとしたときの嫌がらせ、比較的新しい概念、父親が対象
詳しい意味と使い方は、以下で順番に解説します。
「パワハラ」とは
パワハラさされやすい人
— まるる@社畜の窓際族 (@shirokuma_can) May 13, 2026
・真面目で従順な人
・物事を自責で捉える人
・気が弱い人
・仕事のミスや遅滞が目立つ人
・周囲とのコミュニケーション量が少ない人
このあたりの人がパワハラ加害者に狙われやすい
「パワハラ」とは、職場における優位な立場や権力を背景に、業務上の適正な範囲を超えて相手に精神的・身体的な苦痛を与える行為のことです。
「パワーハラスメント」の略で、日本では2020年に施行されたいわゆる「パワハラ防止法」によって、企業に対して防止措置を取ることが義務づけられました。上司が部下に対して行うケースが最も多いですが、同僚間や部下から上司への場合もあります。
パワハラとして認定されやすい行為はこちらです。
・ 怒鳴る・暴言を浴びせる
・ 業務に無関係な雑用を繰り返し命じる
・ 達成不可能なノルマを課す
・ 仕事を全く与えない(無視・干し上げ)
・ 他の社員の前での見せしめ的な叱責
パワハラの特徴は「立場の優位性」が根本にある点です。相手より力がある、という状況が前提になっていることが、他のハラスメントとの大きな違いです。また、単なる厳しい指導や業務上の注意とパワハラは区別されるため、「パワハラかどうか」の判断は意外と難しい場面もあります。
パートの職場で、先輩から毎日のように「なんでこんなこともできないの」と言われ続けた同僚の話を聞いたことがあります。最初は「厳しい人だな」と思っていたのですが、その子が3ヶ月後に体調を崩して休職してしまいました。
後から「あれってパワハラだったんだ」とわかったとき、言われてみれば確かに、という感じでした。指導と嫌がらせの境目は、受け取る側の気持ちだけではなく、「業務上必要かどうか」という客観的な基準で判断されるようです。
職場の上下関係を使った圧力や言動がパワハラの核心であり、立場の差がない状況ではパワハラとは呼ばれません。
「モラハラ」とは
「モラハラ」とは、言葉・態度・無視などによって相手の人格や尊厳を傷つける、精神的な嫌がらせのことです。
「モラルハラスメント」の略で、フランスの精神科医が提唱した概念が日本に広まりました。パワハラとの最大の違いは「権力差が必須ではない」という点で、対等な立場の同僚間や、夫婦・恋人間でも起こります。職場だけでなく家庭内でのモラハラも社会問題として注目されています。
モラハラに該当しやすい言動はこちらです。
・ 「お前はダメだ」「そんなこともわからないの」などの人格否定
・ 意図的な無視・仲間外れ
・ 「冗談だよ」と言いながら繰り返す侮辱
・ 相手の意見をすべて否定し、自分の価値観を押しつける
・ 感情的になると急に冷たくなる(ガスライティング的な行動)
モラハラがパワハラと混同されやすいのは、どちらも「精神的苦痛を与える行為」という点が共通しているためです。ただし、モラハラは上下関係に限らず起こるという点が決定的に異なります。
夫の会社の同期が、奥さんからモラハラを受けていたという話を聞いて、「え、そんなことあるの!」と驚きました。モラハラというと職場での出来事というイメージがあったので、家庭内で夫が被害を受けるというケースがあるとは思っていませんでした。
なんか気まずくて、その場では何も言えなかったのですが、帰り道ずっとそのことを考えていました。モラハラは「誰でも被害者になりうる」という点が、知っておくべき重要なポイントだと感じました。
人格や尊厳を傷つける精神的な攻撃がモラハラの本質であり、上下関係のない場面でも成立するという点がパワハラとは根本的に異なります。
「セクハラ」とは
職場で上司からパワハラやセクハラに悩む人も多いかと思いますが、復讐はせずとも、きっちりと「復讐する人間」だと相手にわからせることは、将来の自分を守る大切な手段だと思います。
— 品質さん (@chokyori_tsukin) May 7, 2026
言い返さないことが、決して貴方の身を守るわけではないということを、しっかり理解してほしい。
「セクハラ」とは、相手の意に反する性的な言動によって、相手に不快感や不利益を与える行為のことです。
「セクシャルハラスメント」の略で、日本では1989年ごろから社会的に認知され始め、男女雇用機会均等法によって事業主の対応が義務づけられています。職場での出来事に限らず、学校・取引先・顧客との関係でも起こります。また、女性が被害を受けるイメージが強いですが、男性・性的少数者も被害者になりえます。
セクハラに該当する行為はこちらです。
・ 性的な冗談・からかい・卑猥な言葉
・ 身体への不必要な接触
・ 性的な情報の本人の意に反した公開
・ 「彼氏いるの?」「結婚しないの?」など個人の性的事情への立ち入り
・ 採用や評価における性的要求
セクハラはパワハラやモラハラと異なり、「性的な言動」が必ずかかわるという点が明確な特徴です。ただし、「本人がどう感じたか」が重視されるため、冗談のつもりであってもセクハラになるケースは多くあります。
パートの休憩室で同僚と話していたとき、「店長って昔よくタメ口でボディタッチしてきたよね」という話題になりました。みんな「あったあった」と言っていたのですが、それがセクハラにあたる可能性があるとその場で初めて知りました。
正直、今でも「どこからがセクハラなの?」と一瞬迷うことがあります。基準は「相手が不快に感じたかどうか」であり、送り手の意図ではないというのが、一番大切なポイントだと思っています。
性的な言動に特化したハラスメントがセクハラであり、本人の意図ではなく受け取った側の感じ方が基準になります。
「マタハラ」とは
今日隣に住んでるばーさんに久しぶりに会って、「息子ちゃん何歳?3歳?じゃあ、ちょうどいい年の差だね!あんた妊娠してる?してない?はよ2人目作りな!3歳なんてちょうどいいだろ!」とド直球のマタハラうけてくそわろ
— サカイ☺︎ (@sciiiii0626) April 11, 2026
「マタハラ」とは、妊娠・出産・育児休業の取得などを理由に、職場で不利益な扱いを受けたり、精神的な苦痛を与えられたりする嫌がらせのことです。
「マタニティハラスメント」の略で、主に女性が対象となります。妊娠を報告した途端に仕事を外される、育休から復帰したら降格されていた、といったケースが典型例です。男女雇用機会均等法・育児・介護休業法によって、事業主には防止措置の義務があります。
マタハラに該当する行為はこちらです。
・ 妊娠を告げたら自主退職を促される
・ 育休取得を申し出たら周囲から冷たくされる
・ 復帰後に不当に低い評価や降格をされる
・ 「迷惑だ」「タイミングが悪い」と発言される
・ 体調配慮の申し出を無視される
マタハラが他のハラスメントと異なるのは、「妊娠・出産・育休」という特定のライフイベントに紐づいている点です。被害者のほとんどが女性であることも特徴で、キャリアと出産を両立しようとする女性が直面しやすい問題です。
子どもが生まれる前に働いていた職場の話ですが、同期の子が妊娠を報告した直後から明らかに仕事量が減り、居場所がなくなったように見えていました。本人は「申し訳ない」という気持ちと「でも悔しい」という気持ちの間で揺れていたと、後から話してくれました。
それを聞いたとき、「マタハラって本当にあるんだ」と実感しました。当時の私は「マタハラ」という言葉をなんとなく知っていましたが、身近で起きて初めてリアルなものとして受け止めました。
妊娠・出産・育休にまつわる不利益扱いや嫌がらせがマタハラであり、女性のキャリアに直接影響するという点が深刻です。
「パタハラ」とは
言ってたもん!
— Rose (@AlbericBarbier0) March 5, 2025
男性育休は子どもが一歳になるまでの一年間取っていいですって聞いたもん!
パパが育休取得したことで昇進・昇給させないのはパタハラだってフォロワーのみんなが言ってたもん!! pic.twitter.com/AhsdAv1D50
「パタハラ」とは、男性が育児休業を取得しようとしたり、育児に関わる制度を利用しようとしたりした際に受ける嫌がらせや不利益扱いのことです。
「パタニティハラスメント」の略で、「パタニティ(paternity)」は英語で「父親であること」を意味します。マタハラが女性に向けられるのに対し、パタハラは主に男性が対象です。日本政府が男性の育休取得を推進するなか、比較的最近広まった概念で、まだ認知度が低い点が特徴です。
パタハラに該当する行為はこちらです。
・ 「男が育休なんて」という発言や空気
・ 育休申請を無視・却下される
・ 育休取得後に評価を下げられる
・ 「仕事より家族を優先するのか」という圧力
・ 同僚から白い目で見られ、孤立する
パタハラがマタハラと混同されやすいのは、どちらも「育休・育児」が関係しているためです。ただし、パタハラは「男性が育休を取る」という行為に対する偏見や圧力が根本にあり、まだ社会的な認識が追いついていない部分も多い点が特徴です。
去年、夫が育休を取りたいと上司に相談したところ、「前例がない」「今は難しい」と言われ、結局取れなかったということがありました。違法ではないのかと調べてみたら、申請を妨げる言動はパタハラに当たりうることを初めて知りました。
「頭でわかっていても、ぱっと出てこないんですよね」という感じで、パタハラという言葉を知っていても、いざ自分の身に起きたときにそれがパタハラだと気づきにくいのが現実だと思います。
男性が育児にかかわろうとしたときに受ける圧力や不利益扱いがパタハラであり、まだ社会認知が追いついていない新しいハラスメント概念です。
「パワハラ」「モラハラ」「セクハラ」「マタハラ」「パタハラ」の違いを比較
5つのハラスメントをまとめると、「誰が」「何を根拠に」「何をするか」がそれぞれ異なります。パワハラは職場の上下関係、モラハラは人格否定、セクハラは性的な言動、マタハラは妊娠・出産、パタハラは男性の育休がそれぞれの核心です。
一番混同しやすいのがパワハラとモラハラです。パワハラは「立場の優位性」が前提で、会社や組織の文脈で使われますが、モラハラは立場に関係なく、夫婦間や友人間でも起こります。また、マタハラとパタハラは両方とも「育休」が絡みますが、対象が女性か男性かで区別されます。
| 正式名称 | 主な対象 | 根拠・特徴 | 発生する場面 | |
|---|---|---|---|---|
| パワハラ | パワーハラスメント | 主に部下・後輩 | 立場・権力の優位性 | 職場 |
| モラハラ | モラルハラスメント | 誰でも | 精神的・人格攻撃 | 職場・家庭・対人関係 |
| セクハラ | セクシャルハラスメント | 誰でも | 性的な言動 | 職場・学校・取引先 |
| マタハラ | マタニティハラスメント | 主に女性 | 妊娠・出産・育休 | 職場 |
| パタハラ | パタニティハラスメント | 主に男性 | 男性の育休・育児参加 | 職場 |
また、複数のハラスメントが重なることも珍しくありません。たとえば、上司が部下に性的な発言を繰り返す場合、パワハラとセクハラの両方に該当する可能性があります。「これはどのハラスメントか」と一つに絞ろうとせず、「どんな被害を受けているか」に着目して考えることが大切です。
よくある質問
Q1:パワハラとモラハラは何が一番違うの?
最大の違いは「立場の差が必要かどうか」です。パワハラは職場での上下関係や権力差が前提ですが、モラハラは対等な立場でも、家庭内でも起こります。同じ「精神的苦痛を与える行為」でも、状況が異なります。
Q2:セクハラって男性も被害者になれるの?
なれます。セクハラは女性が被害を受けるイメージが強いですが、男性が性的な言動によって不快感を覚えた場合もセクハラに該当します。同性間でも起こりえます。
Q3:パワハラとモラハラが同時に起きることはある?
あります。上司が権力を使って部下の人格を傷つける言動を繰り返す場合、パワハラとモラハラの両方に当たることがあります。どちらか一方だけが成立するケースのほうが少ない場合もあります。
Q4:マタハラとパタハラはどう使い分ければいい?
妊娠・出産・育休にかかわって女性が受ける嫌がらせがマタハラ、育休を取ろうとした男性が受ける嫌がらせがパタハラです。育休という共通点はありますが、対象となる性別で区別されます。
Q5:「冗談のつもり」だったらセクハラにならないの?
なりません。セクハラの判断基準は「受け取った側がどう感じたか」です。送り手が冗談のつもりであっても、相手が不快に感じた場合はセクハラになりえます。
Q6:パタハラって法律で禁止されてるの?
育児・介護休業法により、育休の申し出や取得を理由とした不利益扱いは禁止されています。育休取得の妨害や取得後の降格・解雇も違法となりえます。ただし「パタハラ」という名称が法律で明記されているわけではありません。
Q7:ハラスメントを受けたと思ったらどうすればいい?
まず記録を取ることが重要です。日時・場所・発言内容をメモしておきましょう。職場に相談窓口があれば活用し、ない場合は都道府県の労働局にある相談窓口に問い合わせることができます。
Q8:パワハラかどうかの判断は誰がするの?
最終的には第三者や専門機関が判断します。「上司がこうしたからパワハラだ」と一方的に断定するのは難しく、業務上の必要性・継続性・相手への影響などを総合的に判断する必要があります。
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・ 「パワハラ」は職場の立場・権力を背景にした嫌がらせ。上下関係があることが前提。
・ 「モラハラ」は言葉や態度による精神的な人格攻撃。職場だけでなく家庭内でも起こる。
・ 「セクハラ」は性的な言動による嫌がらせ。冗談でも、受け取った側が不快なら該当しうる。
・ 「マタハラ」は妊娠・出産・育休をめぐる女性への不利益扱いや嫌がらせ。
・ 「パタハラ」は育休を取ろうとした男性への圧力や嫌がらせ。比較的新しい概念で認知度はまだ低い。
個人的には、この5つを一気に覚えようとするより、「誰が」「何を理由に」受けるハラスメントかという視点で整理するのが一番わかりやすいと思います。パワハラは職場の上下関係、セクハラは性的言動、マタハラは女性の育休、パタハラは男性の育休、と覚えておくだけでも大分スッキリします。
ハラスメントという言葉は知っていても、「どれがどれ?」となりがちなテーマです。もし身近な人が「なんかしんどい」と言っていたら、この記事を一緒に見てみてもらえると嬉しいです。
この記事を書きながら、夫の育休のことを改めて思い出しました。あのとき「パタハラかもしれない」と言える言葉を知っていたら、もう少し違う動き方ができたかもしれません。これからはちゃんと使い分けて、もし何かあったときに役立てようと思います。

